地学全般やそれ以外の随想など

2019年1月23日掲載 

堆積構造 葉理のできかた Sedimentary structure , How leaf grains"lamina" are formed


1 ウェイブリプル=波形のラミナ(葉理)のできかた

 地層は通常,河川から流入する砕屑物が水平に堆積して,粒度の違いで縞模様が平行に見えます.ところが,海岸近くの場所では波の運動や侵食作用でラミナ(葉理=砂粒の配列模様)が規則的な波状の模様をつくることがあります[注1].これは,海の波が岸に打ち寄せるとき,寄せ波と引き波の共振により水底で強い振動流が発生して作られたと考えられます.これを検証するための水槽実験を行いました.
 新潟県胎内市に倉敷レイヨンの工場があります.ここでは,日本海沿岸で採掘された天然ガスを原料としてアクリル樹脂を製造しています.クラレの「パラグラス」とも呼ばれています.これはガラスのように透明で,加工しやすく,強度もあります.本ページのテーマである,特殊な地層の成因を調べるための実験用水路は,これを材料に作成しました.[注2].

[注1]河内一男・樋浦貞吉・鷹巣大城・三谷忠生,1993,水面波の共振により水底に形成されるウェーブリップル,新潟県立教育センター理科研究報告,149,49-54.(pdfファイル:1.3Mb)

[注2]樋浦貞吉・河内一男・鷹巣大城,1993,実験用水路の製作とその活用,新潟県立教育センター理科研究報告,149,45-48.(pdfファイル:1.0Mb)



 まずは実験の映像をごらんください.なお,実験は1992年に,地区理科教育センターの活動の一環として,新潟県立教育センターで行われたものです.

ウェイブリプル=水面波の共振 (動画:mp4ファイル)

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ウェイブリプル=水面波の共振(動画:mp4ファイル)


このページで紹介する水槽実験は,本来,海底に形成される縞模様(ウェーブリップル)の生成機構の解明が目的でしたが,いくつかの点で地震災害にも応用できそうです.水面の波長の10分の1程度の波長で水底が強く振動するようすは津波襲来時の水底での波の挙動を暗示しています.また,水を軟弱沖積地盤に比定すれば,盆地で震動が大きくなったりする,地下構造と局所的震動増幅の関係を調べられるかもしれません.


2 ラミナ(葉理)のできかた

 河川や河口の近くの、流れのある海底で形成される特徴的な地層に、フォアセットラミナ(一方向に傾斜面をもつラミナ)やカレントリップル(流痕)があります。その形成機構を調べました。
 

フォアセットラミナ(動画1:mp4ファイル)

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フォアセットラミナ(動画1:mp4ファイル)

カレントリプル(流痕)(動画2:mp4ファイル)

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カレントリプル(流痕)(動画2:mp4ファイル)

 [著者]
 河内一男 
KAWAUCHI Kazuo
新潟薬科大学非常勤講師(地学担当)

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