日本海東縁プレート境界の地震地学
Seismo-Tectonics on the Eastern Japan Sea Plate Boundary

新潟の地震を考える
My View about Seismicity around Niigata Region

液状化について Liquefaction
2012年2月追加 2024年1月29日更新 

  越後平野の液状化

 地盤の液状化被害は1964年新潟地震で注目されるようになりました.当県では過去にも1828年三条地震の際に長岡,見附,三条,加茂の越後平野中央部が甚大な被害を受けています.
 激しい液状化が生じると,大量の地下水が噴出します.三条地震では,吹き出した水がお湯のように温かかったということです.地下の温度は100m深くなるごとに約3度上昇します.仮に地表付近が10℃として.吹き出した水の温度が40℃とすると,地下1000mくらいの深さから上昇してきたことになります.
 地震がおさまったあと,水は引いてしまいますから,水に伴って出てきた噴砂丘の砂だけが残ります.このため,「噴砂現象」という言葉がよく使われます.しかし,上昇してきた主役は水ですから,むしろ「噴水現象」というべきかもしれません.液状化とは,砂の間隙に取り込まれていた水が,震動によって動きが自由になり,周りの砂粒より軽いために生じる浮力の働きで上昇・噴出する現象です.埋もれ木があればやはり上昇・噴出します.1828年三条地震では大木があちこちの田んぼに浮き上がってきたことが知られています.
 軽い木や水が浮上するのに対して,地上の重い鉄筋コンクリートの建造物は(支持杭がなければ)ズブズブと沈下することになります.
 液状化で川岸町のアパートが傾いたり,昭和橋の橋脚が沈んだりした1964年新潟地震の「そのとき」の様子を調べるため,水を含ませた砂を入れた容器を振動させ,ビルディングに見立てた石材の挙動を調べる実験をしました.  


液状化の実験(動画 mp4形式) を見る
ブラウザによっては動画が再生されないことがあります。


 
 
 実験のようす(静止画2枚:動画が再生できない場合のために掲載しました)


タイトル 図1. 水を含んだ砂を水平方向に圧縮すると,水は下に沈み表面が乾いた状態になる.その上にマッチ箱大の石材(花崗岩)を載せると,石材は表層の乾いた砂から垂直抗力を受けてつり合う(「浮いた』状態になる).
Figure 1. When sand containing water is compressed horizontally, the water sinks to the bottom and the surface becomes dry. When a matchbox-sized stone (granite) is placed on top of it, the stone receives a vertical force from the dry sand on the surface and becomes balanced (it becomes "floating").


タイトル 図2.  振動を加えると砂より軽い水は浮き上がり,石は沈下する.
Figure 2. When vibration is applied, water, which is lighter than sand, floats up, and stones sink.


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 [著者]
 河内一男